醸造酒とは?(醸造酒・蒸留酒・混成酒の違いを知る) | しっぽり...

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醸造酒(じょうぞうしゅ)を知る。

醸造酒とは、穀物や果実をアルコール発酵させて作ったお酒です。発酵によって原料の中にアルコールが生まれるのです。
日本酒・ビール・ワインなどが主な醸造酒です。
お酒は、製造方法によって醸造酒・蒸留酒・混成酒に分けられますが、蒸留酒は醸造酒を元にして作られますし、混成酒は醸造酒や混成酒を元に作るので、醸造酒は全てのお酒の原点と言えます。
  1. 醸して造る
  2. 発酵って何?
  3. 醸造酒の種類
  4. 醸造酒のアルコール度数
  5. 発酵の仕組みが分かったのは実は結構最近
  6. 発酵って、腐っているのと同じ!?

ワイン

ブドウの実を発酵させて造ったお酒で葡萄酒(ぶどうしゅ)とも呼ばれます。色から赤・白・ロゼの3種類に分けられます。

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ビール

大麦を発芽させた麦芽を発酵させて造ったお酒です。麦酒(ばくしゅ)とも言います。製法によってラガービールとエールビールに分けられます。

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日本酒

米と麹と水を原料に発酵させて造った日本のお酒です。清酒(せいしゅ)ともいいます。

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シードル

林檎(りんご)の実を発酵させて作ったお酒。林檎酒。

ミード

水で薄めた蜂蜜(はちみつ)を発酵させて作ったお酒。蜂蜜酒。

プルケ

竜舌蘭(リュウゼツラン)の一種であるマゲイの樹液を発酵させて作られるメキシコのお酒。

醸して造る

醸造(じょうぞう)の「醸」の文字には、日本語で「醸(かも)す」という意味があります。
「醸す」と「出す」を組み合わせた「醸し出す」(気分・感じ・雰囲気などを作り出す)という表現の方が馴染みのある感じがしますね。

「醸す」自体は、<雰囲気などを作り出す>という意味以外に、<麹(こうじ)を発酵させて、お酒や醤油(しょうゆ)を造る>という意味があります。
この語源は「かむ=醸む(かむ)=噛む(かむ)」で、古来のお酒が生米などの穀物や木の実を口の中でかんで唾液と一緒に放置することで発酵させて作った口噛み酒(くちかみさけ)だったことに由来していると言われています。

ちなみに「醸む」には「醸ぶ(かぶ)」という異形があって、「黴(かび)」の語源は発酵して黴が生えることを意味する「かぶ」は「醸ぶ」であるという説があります。

発酵って何?

発酵とは、酵母(イースト)菌などの微生物が生きるエネルギーを得るために糖などの有機物を分解・化合して、違う物質が発生する過程(代謝プロセス)のことです。ざっくり言うと人間にとっての呼吸、植物にとっての光合成と同じようなものです。

発酵にはいろいろな種類があるのですが、お酒の製造には、酵母菌が糖(炭水化物)を代謝してアルコールと二酸化炭素を生成する、アルコール発酵という仕組みが利用されています。

発酵を利用して造られた食品(発酵食品)にはパンやヨーグルト、みそやみりんやしょうゆ、そして納豆などがあり、どれも私たちにとって身近で古くから作られているものばかりです。パンは酵母菌、ヨーグルトは乳酸菌、納豆は納豆菌など、食品それぞれによってそれを生み出すことのできる微生物は異なります。
発酵に適した環境も微生物によって異なり、美味しい食品を作るには、気温や触れる酸素の量、酸の強さ(pH・ペーハー)などを絶妙に調整することが必要となります。
美味しい発酵食品は人類の試行錯誤の結果としていただける、ありがたいものなのですね。

醸造酒の種類

アルコール発酵を起こすには糖分と酵母が必要です。そのため原料によって醸造酒の製造工程は異なってきます。単発酵酒複発酵酒の2つに分けられます。

果物のように糖分をたくさん含んでいるものは、酵母菌と一緒に置いておくだけでお酒になります。そうしてできるのが単発酵酒です。ブドウが原料のワインやリンゴが原料のシードルなどがあります。

これに対して、米や麦のような穀類など、それ自体が糖分を含んでいないものを原料にお酒を造る場合は、まず原料に含まれているデンプンを麹菌や酵素によって糖に変化させる必要があります。
この糖化と発酵の2つの工程を経て作られるお酒が複発酵酒です。

複発酵酒は製造工程の違いによってさらに2つに分けられられます。
ビールなどのようにデンプンの糖化とアルコール発酵の2つの工程を1つずつ順番に行って造る単行複発酵酒、日本酒のように糖化と発酵を同時進行で造る並行複発酵酒があります。

醸造酒のアルコール度数

醸造酒のアルコール濃度は概ね10%前後、最も強くても20%程です。これはアルコールを作るのに酵母菌の力を借りていることが関係しています。
アルコール発酵に必要な糖分は生成したいアルコールの約2倍の量と言われます。酵母菌は糖の濃度が濃くてドロドロとした中では活動できないため、糖の中に酵母を加える方式で作る単行複発酵酒で生成できるアルコール度数10〜15%程度が限界なのですが、糖分が無い状態から糖化と発酵を一斉に行う並行複発酵酒ではアルコール度数15%〜20%と比較的強めのお酒を作ることができます。
醸造酒の中で最もアルコールが強いのは日本酒です。酵母菌はアルコールが濃くても活動できないのですが、日本酒の場合は、米や麹に含まれる酵素などの作用によってアルコールによる酵母への影響が妨げられることで、アルコール度数20%のお酒を作ることができます。これは日本が世界に誇れる独自の伝統技術です。

発酵の仕組みが分かったのは実は結構最近

醸造酒については、古代中国の遺跡からの発掘物によって約1万年前には既に作らていたと考えられています。少なくとも今から約5千年前の初期メソボタミア文明の出土物としてビールについて記録された粘土版が見つかっています。

人類はそれくらい古くから発酵を飲食物に活用してきたわけですが、実はどうして発酵という現象が起こるのか、長い歴史の中で比較的最近まで分かっていませんでした。
そもそも微生物の存在が発見されたのは近世に入ってからの17世紀末、さらに発酵が酵母の活動によって起きていることが議論され始めたのは19世紀に入ってからで、その仕組みが明らかになったのは人類の歴史の中でも最近のことです。

アルコール発酵が酵母によって起きていることを発見したのは、ルイ・パスツール(1822-1895)というフランスの化学者です。
パスツールが残した言葉の中に「一本のワインのボトルの中には、全ての書物にある以上の哲学が存在する。」というものがありますが、ワインを通じていくつかの化学的な発見をした彼が言ったからこそ、名言として語り継がれたのでしょう。

発酵って、腐っているのと同じ!?

納豆やチーズも代表的な発酵食品ですが「これは腐ったものなんだよ!」なんて聞いたことがあるかもしれません。
「腐っている」というと聞こえが悪いですが、人間にとって害のあるものをそう呼んでいるだけで、微生物にとっては腐敗も発酵も同様の生理現象です。
微生物の代謝よって乳酸やアルコールなど人間の食べられる物質が生成される場合に発酵と呼んで、アンモニアや硫化水素など臭くて人間に有毒な物質が生成される場合に腐敗と呼んでいるわけです。