ワインを知る
最終更新日:2022年11月20日
ワインについての国際的な機関である、国際ブドウ・ワイン機構(OIV)では、ワインを「生のブドウそのものか生のブドウ果汁が発酵してできる飲み物」(※実際はより細かい規定があります)としています。つまり、ワインとはブドウ酒です。ですが、フルーツワインという呼び名があるように、リンゴや梨やサクランボなど、ブドウ以外の果物の果汁を発酵させて作ったお酒も、広い意味ではワインに含む場合があります。
ワインは人類の歴史上最も古くからあるお酒ですが、それは原料となるブドウに発酵の養分となる糖分が含まれているため、加熱させたり酵母菌を付けたりせずに置いておくだけで、自然にワインになるためです。 これに対してワインと同じく醸造酒であるビールや日本酒など穀類から作るお酒は、原料に含まれるデンプンを糖に分解させないと発酵しないため、自然にお酒になることがありません。
現在では、世界中のワインを楽しんだり、外国産のブドウを使った国産ワインを飲むことができますが、保存や輸送技術が発達する現代以前は、ブドウは腐りやすいために熟した実を速やかに収穫・破砕・発酵させる必要があり「ワインは風土を飲むものだ」と言われるような土着のお酒でした。
現在、ワインは60カ国以上もの国で作られていますが、フランス、イタリア、スペインだけで世界の約5割のワインを生産しています。
アルコール度数
15 〜 18%※ 当サイトに登録されている銘柄の度数をもとにしています。
01ワインの分類
ワインは製造方法の違いによってスティル・ワイン、スパークリング・ワイン、フォーティファイド・ワイン、アロマタイズド・ワインの4種類に分類することができます。
スティル・ワイン(非発泡性ワイン)
一般的に単にワインと言うとスティル・ワイン(Still wine)を指し、白ワイン、ロゼワイン、赤ワインなどがこれに該当します。スティル(still)とは英語で「静かな」という意味で、炭酸ガスによる発泡性を持つスパークリング・ワインと区別するためにスティル・ワインと呼ばれます。国際ブドウ・ワイン機構(OIV)の規定では「20℃で二酸化炭素含有量4g/ℓ未満のワイン」、EUでは「ワインに含まれる炭酸ガスの圧力が1気圧以下のもの」と規定されています。炭酸の泡が無いワインということで日本語では非発泡性ワインとも呼ばれます。
アルコール分は8~14%ほどで、白ワインの方が若干アルコール度数が低い傾向があります。
赤ワイン
赤ワインはルビーやガーネットのような深みのある赤から紫や黒味がかった色をしたワインで、黒ブドウを果皮や種子と一緒に発酵させることでこの色味が出ます。果皮や種子由来のポリフェノールの一種であるタンニンが多く含まれていることが特徴で、これが赤ワインに渋味を中心とした味の奥深さを与え、また人体への影響としては抗酸化作用から老化防止や発がん抑制などの健康効果があるとされています。
白ワイン
白ワインは無色や薄い黄色、琥珀がかった透明色をしたワインで、ブドウの果皮や種子を取り除いてから発酵させて造られます。そのため赤ワインと比べてタンニンの含有量は非常に少なく、渋味も少ないのが特徴です。赤ワインが黒ブドウで造られるのに対して、白ワインは主に白ブドウで造られますが、黒ブドウで造られる白ワインもあります。
ロゼ・ワイン
ロゼ・ワインは単にロゼとも呼ばれ、サーモンやフランボワーズのようなピンクや、ややオレンジがかったピンク色をしたワインで、赤ワインの発酵液がピンク色になった段階で果皮と種子を除去するなど、いくつかの製法があります。
オレンジ・ワイン
オレンジ・ワインは琥珀のような黄色から濃いオレンジ色をしたワインで、白ブドウを使って赤ワインと同様に果皮や種子ごと発酵させる製法で造られます。赤ワインのように果皮や種子由来のタンニンが多く含まれることで、白ワインとは異なり渋味を伴う複雑な味わいと、健康効果があります。古来から存在する製法でしたが2000年頃からオレンジ・ワインの名で世界的に認知されて、人気が高まっています。
スパークリング・ワイン(発泡性ワイン)
スパークリング(sparking)とは「泡立つ」という意味の英語で、炭酸の発泡があるワインを総じてスパークリング・ワイン(Sparkling wine)と呼びます。
スパークリング・ワインもスティル・ワイン同様に白や赤やロゼなどの色がありますが、ほとんどは泡立ちが見えやすい白で造られます。アルコール分はスティル・ワインと同様で8~14%ほどです。
フランスのシャンパン、スペインのカバ、イタリアのフランチャコルタ、ドイツのゼクトが有名です。
スパークリング・ワインのページ
シャンパン(シャンパーニュ)
フランスのシャンパーニュ地方で造られているスパークリング・ワインで、特定のブドウ品種を使って伝統的な発酵方式(シャンパーニュ方式)で造られているもののみが、シャンパンと名乗ることができます。
カバ
スペインで伝統的な発酵方式によって造られている高品質なスパークリング・ワインです。カバ(Cava)とは洞窟という意味のカタルーニャ語で、洞窟内で熟成させていたことからこの名前が付けられました。
フランチャコルタ
北イタリアのロンバルディア州東部のフランチャコルタ地域で伝統的な発酵方式によって造られているスパークリング・ワインです。イタリア最高格付であるDOCGに認定されています。
ゼクト
ドイツで造られているスパークリング・ワインのうちEU圏内産のブドウを使っているものがゼクト(Sekt)と呼ばれています。特にドイツ産出のブドウだけを使ったものをドイチャー・ゼクト(Deutscher Sekt)と呼びます。また、伝統的方式(シャンパン方式)で造られているゼクトはフラッシェンゲールング(Flaschengärung)と呼びます。
フォーティファイド・ワイン(酒精強化ワイン)
フォーティファイド(fortified)とは「アルコールを加えて強くした」という意味の英語で、フォーティファイド・ワインとはその名の通り製造工程でブランデーなどを加えてアルコール分を15〜22度まで高めたものです。こうすることでワインのコクと保存性が高まります。日本語では酒精強化ワインと呼ばれます。
スペインのシェリー、ポルトガルのポート・ワインとマデイラは世界三大酒精強化ワインと呼ばれています。他にはイタリアのシチリア島で造られるマルサラ、フランスのコニャック地方のピノー・デ・シャラント、アルマニャック地方のフロック・ド・ガスコーニュなどがあります。
ポート・ワイン
ユネスコの世界遺産にも登録されているポルトガル北部のドウロ川上流のアルト・ドウロ・ワイン生産地域で造られている酒精強化ワインです。ポルト港から出荷されていることからこの名前が付けられました。赤と白があります。織田信長の時代に日本に初めて輸入されたワインと言われています。
シェリー
スペイン南部のアンダルシア州カディス県ヘレス・デ・ラ・フロンテーラとその周辺地域周辺で造られている酒精強化ワインです。生産地のヘレスはアラブ人に支配されていた時代にシェリシュと呼ばれており、そこで造られたワインがイギリスに輸出されるようになった際にシェリーと転訛しました。白ブドウからのみ造られます。
マデイラ
ポルトガル領マデイラ島で造られている酒精強化ワインです。
マルサラ
イタリアのシチリア島の最西端にあるマルサラ市周辺地域で造られている酒精強化ワインです。
ピノー・デ・シャラント
フランスのコニャック地方で造られる酒精強化ワインです。未発酵のブドウ果汁にコニャックを加えて熟成させたものです。
フロック・ド・ガスコーニュ
フランスのアルマニャック地方で造られる酒精強化ワインです。未発酵のブドウ果汁にアルマニャックを加えて熟成させたものです。
アロマタイズド・ワイン(フレーバード・ワイン)
アロマタイズド・ワイン(Aromatised wine もしくは Aromatized wine)はフレーバード・ワイン(Flavored wine)とも呼ばれており、ハーブなどの薬草や香草やスパイス、ブドウ以外の果物の果汁などを加えて風味付けしたワインのことです。
イタリアやフランスで造られているヴェルモット、スペインやポルトガルで造られているサングリアが特に有名です。他にはフランスのリレ、ギリシャのレツィーナ(松脂風味)などがあります。
ベルモット(ヴェルモット)
ワインにニガヨモギ、コリアンダー、ナツメグをはじめとした様々なハーブやスパイスなどを使って風味づけしたものです。主にイタリアとフランスで造られています。ベルモット(Vermouth)の名称の由来はドイツ語でニガヨモギを意味するWermutです。大きく分けて甘口のスイート・ベルモットと辛口のドライ・ベルモットの2種類あります。
ベルモットのページ
サングリア
赤ワインに一口大に切ったレモン、オレンジ、リンゴ、桃やブルーベリーなどの果物を砂糖などの甘味料と一緒に漬け込んだものです。ブランデーなどを加えてアルコール度数を高めつつ風味付けする場合もあります。スペインとポルトガルで造られています。サングリア(Sangria)の語源は血を意味するスペイン語のsangre、もしくはポルトガル語のsangueで、赤ワインに由来する血のような真っ赤な色であることからこの名前になったと考えられている。
リレ
1872年にフランスのボルドー南部のポデンサック村のポール・リレ、レモン・リレ兄弟によって生み出されたブランドで、ボルドー産のワイン85%に柑橘系のリキュール15%をブレンド後に熟成させて造られています。
レツィーナ
古代よりギリシアで造られている松脂(まつやに)風味のワインで主に白ワインで造られています。元来、ワインを密閉保存するためにツボの蓋に塗っていた松脂の香りがワインに移ったものでしたが、今ではこの風味を出すために意図的に造られています。