カクテルのスタイル

カクテルのスタイルとは?

ロング・カクテルには、レシピの共通点からスタイルと呼ばれるいくつかの種類分けがされているものがあります。スタイルはカクテルを作る際のレシピの型と捉えることができ、1つのスタイルを覚えることでベース酒を入れ替えて様々なカクテルを作ることができます。

その成り立ちから異なるスタイルとされているものでも実際はほとんど同じだったり、よく似たスタイルも多くあります。

このページではカクテルの代表的なスタイルを詳しく解説します。

01フィズ

「フィズ」とはソーダ水の炭酸ガスが弾ける「シュッ」という音表した言葉です。

スピリッツ(蒸留酒)にレモン・ジュースとシュガー・シロップ(または砂糖)を加え、シェークしたものを氷を入れたグラスに注ぎ、ソーダ水で満たしてビルドしたものです。
ベースとなるお酒はスピリッツを使うのが基本ですが、日本ではリキュールを使うこともあります。

作り方はコリンズとほぼ同じですが、コリンズが標準的な300mlのコリンズ・グラスを使うのに対してフィズは180ml〜240ml程度のタンブラーを使い、ソーダ水の量が若干少なくなるためアルコール度数がやや高くなります。
また、サワーとも似ていますが、サワーよりもシュガー・シロップを多く使うため、その分レモン・ジュースの酸味が中和されています。

ジン・フィズをはじめとして、多くの有名なフィズ・スタイルのカクテルがあります。

02コリンズ

「コリンズ」という名前は、最初にこのカクテルを作ったロンドンの名バーテンダーのジョン・コリンズ氏に由来しているとされていますが、「お礼状」という言葉に由来しているという説もあります。これは前夜にもてなしを受けた相手にお礼状を書こうと思った人が二日酔いだったのが、このカクテルを作って飲んだらすっきり酔いがさめたことからこの名前がついたという説です。

スピリッツ(蒸留酒)にレモン・ジュースとシュガー・シロップ(または砂糖)を加え、シェークしたものを氷を入れたグラスに注ぎ、ソーダ水で満たしてビルドしたものです。
作り方はフィズとほぼ同じですが、フィズが180ml〜240ml程度のタンブラーを使うのに対して、コリンズは容量の大きい専用のコリンズ・グラスを使うためソーダ水の量が多くなり、その分アルコール度数が低くなります。
また、サワーとも似ていますが、サワーよりもシュガー・シロップを多く使うため、その分レモン・ジュースの酸味が中和されています。

ジョン・コリンズ氏の名前がそのまま付けられたジョン・コリンズやトム・コリンズなどが有名です。

03サワー

「サワー」とは「酸っぱい」という意味の言葉です。

スピリッツ(蒸留酒)にレモン・ジュースと砂糖を加えて作るスタイルです。

フィズやコリンズに似ていますが、レモンの酸味を効かせるため、砂糖の量は少なめにします。

アメリカでは原則的にソーダ水は加えませんが、その他の国ではソーダ水やシャンパン(スパークリング・ワイン)などを使うこともあります。

ベースとなるお酒はスピリッツを使うのが基本ですが、日本ではリキュールを使うこともあります。なお、日本において主に居酒屋でサワーと呼ばれるものは酎ハイ(チューハイ)のことで、これは甲類焼酎やウォッカを様々なフレーバーの割り材とソーダ水で割ったもので、カクテルのスタイル名としてのサワーとは別物です。

ウイスキー・サワーやブランデー・サワーが代表的です。

04スリング

「スリング」とはドイツ語で「飲み込む」を意味する schlingen が訛ったものと言われています。

スピリッツ(蒸留酒)とレモン・ジュースと好みによりシロップなどの甘味を加え、水やソーダ水やジンジャーエールまたはお湯などで割るスタイルです。
フィズやコリンズにも似ていますが、甘味に砂糖でなくグレナディン・シロップなどを用いることが多いほか、ソーダ水以外で割ることも多いです。

シンガポール・スリングが代表的です。

05クーラー

「クーラー」とはその名の通り、冷たくて心地よい清涼感のある飲み物という意味です。

氷を入れたグラスにスピリッツ(蒸留酒)を注ぎ、レモン・ジュースやライム・ジュース、シロップなどの甘味を加え、ソーダ水やジンジャーエールなどで満たすスタイルです。
スリングとほとんど同じですが、スリングは水やお湯で割る場合もあることが違います。

ボストン・クーラー、モスコー・ミュールなどがあります。

06リッキー

1883年7月にアメリカのワシントンD.C.にあった「シューメーカー(Shoomaker’s)」というバー・レストランの客だったカーネル・ジョー・リッキー氏がウイスキー・ベースのレシピを考案して評判となり、彼の名前から「ジョー・リッキー」と名付けられたのが由来とされています。その後、様々なベースのバリエーションが作られて「リッキー」がスタイルの名前になりました。

氷を入れたグラスにスピリッツ(蒸留酒)を注ぎ、縦に6分の1〜8分の1にカットした生ライム(または生レモン)をしぼってグラスに落とし入れ、ソーダ水で満たすスタイルです。マドラーでライムの果肉をつぶして好みの味に調整しながら飲むことができます。

原則として砂糖を使わないので、全く甘味が無いのが特徴です。

ジン・リッキーが代表的です。

07バック

「バック」とは雄鹿(オスのシカ)のことで、雄鹿のキックのようにアルコールの強いキックのある飲み物という意味から名付けられました。

氷を入れたグラスにスピリッツ(蒸留酒)とレモンの絞り汁を注ぎ、ジンジャーエールで満たすスタイルです。リッキーとよく似ていますがリッキーは最後にソーダ水で満たすのに対して、バックはジンジャーエールで満たすのが特徴です。

ジン・バックが代表的です。

08ハイボール

元来はウイスキーをよく冷やしたソーダ水で割ったもの(ウイスキー・ソーダ)ですが、今ではスピリッツ(蒸溜酒)をはじめあらゆる酒をベースに、ソーダ水やジンジャーエール、コーラ、トニック・ウォーター、ジュース類などのソフトドリンクで割ったもの全般を指す言葉になっています。ただし、日本では現在でもハイボールといえば一般的にはウイスキー・ソーダのことを指し、焼酎やウォッカをベースに作った場合には焼酎ハイボールを略して酎ハイ(チューハイ)と呼んでいます。

 

「ハイボール」という言葉の由来は諸説あります。ひとつはアメリカの鉄道で19世紀に使われていたボール信号機が由来という説です。ボール信号機は赤いボールをワイヤーで吊るして、ワイヤを手動で巻いてこのボールを上げ下げすることで信号としたもので、ボールが低い位置にあると「停止」、高い位置にある状態をハイボールと呼び「出発進行」を意味していました。駅員が隣駅のボール信号を望遠鏡で監視しながら、バーボン・ウイスキーをチビチビ飲んでいる時に、ハイボールになったらソーダ水を入れて一気に飲み干して列車を駅に向かったことから、こう呼ばれるようになったと言われています。もしくはソーダの泡が上にあがっていくことをボール信号のハイボール(出発進行!)と掛けて景気のよい勢いのあるニュアンスでと同じような景気づけで呼ばれるようになったとも言われています。

もう一つの説としては、イギリスのスコットランドのゴルフ場でウイスキー・ソーダを飲んでいた時に、高く打ち上げられたゴルフボール(ハイ・ボール)が飛び込んできたことから、この飲み物をハイボールと呼ぶようになったと言われています。

 

09オン・ザ・ロックス (オン・ザ・ロック)

「オン・ザ・ロックス」とは「岩の上に」という意味で、氷を岩に見立てたネーミングです。

ロック・グラス(オールド・ファッションド・グラス)に大きめの氷を入れて、スピリッツ(蒸留酒)などの材料を注ぐスタイルです。

マティーニやマンハッタンなどのショート・カクテルをこのスタイルで飲むのも人気があります。

10トディー(トデー、タディー)

トディー(トデー、タディー)とは、ヤシの実から取った樹液を発酵させて造る同名のお酒がありますが、それが名前の由来という説と、その昔、スコットランドの首都エジンバラの上流階級が、近郊にあるトッドの泉の水をウイスキーに加えてを飲んでいたのが由来という説があります。

大きめのタンブラーかオールド・ファッションド・グラス(ロックグラス)に砂糖(またはシロップ)を入れて、少量の水かお湯で溶かした後でスピリッツ(蒸留酒)を注ぎ、これを水またはお湯で割るスタイルです。お湯で割る場合はホット・トディーと呼びます。
ホット・トディーの場合は、シナモン、クローブ、ナツメグなどの香辛料と、レモン・スライスを入れるのが一般的です。

ホット・ウイスキー・トディーが代表的です。

11エッグ・ノッグ

エッグ・ノッグは言わば洋風の卵酒で滋養に富んだ飲み物です。アメリカ南部でクリスマス・ドリンクとして広まった物でしたが、現在では季節を問わず世界中で飲まれています。

 

主にラムやブランデーなどのスピリッツ(蒸留酒)に卵、砂糖、牛乳を混ぜて作るスタイルです。仕上げにナツメグを振りかける場合が多いです。

コールドで作る場合と、ホットで作る場合があり作り方が違います。コールドで作る場合は、スピリッツと卵と砂糖をよくシェークしてから冷えた材料を氷を入れたタンブラーに注ぎ、冷えた牛乳で満たしてから軽くステアします。ホットで作る場合はまずは卵黄と卵白を分けて別々に泡立てます。それらを合わせて砂糖と混ぜたうえで耐熱グラスに入れて、スピリッツと温めた牛乳を注いで軽くステアします。

フリップによく似ていますが、エッグ・ノッグは牛乳を入れる点がフリップとは異なります。

子供でも飲めるようにスピリッツを使わずに作る場合もあります。これは日本ではミルクセーキとも呼ばれている飲み物です。ミルクセーキを作る際はバニラエッセンスなどで風味を整える場合が多いです。

 

エッグ・ノッグの歴史は古く、中世からイギリスで作られていたポセットという風邪の治療薬が起源だと考えられています。ポセットは牛乳をワインやエールで固めてスパイスを加えて作られる飲み物でした。

エッグ・ノッグという言葉の由来は諸説あって定かではありません。一説にはお酒を飲む際に使われていた木彫りの小さなマグカップの呼び名であるノギン(noggin)が由来とされています。また一説には卵(egg)とラム酒の水割りを指す俗語のグロッグ(grog)をかけ合わせた「egg & grog」の短縮系である「egg-n-grog」が由来とされています。またノッグ(nog)はイギリスの東アングリアで醸造された強いエールのことで、これに由来しているという説もあります。いずれにしても17世紀から18世紀に頃にエッグ・ノッグと呼ばれる飲み物として確立していったようです。

 

ブランデー・エッグ・ノッグが代表的です。

12フリップ

「フリップ」はエッグ・ノッグとよく似た洋風の卵酒で滋養に富んだ飲み物です。エッグ・ノッグと異なる点はフリップでは一般的に牛乳やクリームを使わないということです。

スピリッツ(蒸留酒)かワインと卵(卵黄だけ、もしくは全卵)と砂糖(もしくはシロップ)をよくシェークするかブレンダーでブレンドしてグラスに注ぐスタイルです。グラスはワイン・グラスかサワー・グラスを使うことが多いですが、ポート・ワイン・グラスやカクテル・グラスを使うこともあります。仕上げにナツメグを振りかける場合が多いです。

フリップは、17世紀後半頃にアメリカで生まれたと言われています。初期のフリップはエールをベースでしたが、最初に赤く熱された暖炉用の鉄製火かき棒をエールに突っ込んで温める作業を行ってから作っており、この時にジュワッと泡が立つ様子(flipping)からフリップと呼ばれるようになりました。

温めてホットで飲むレシピや温かい牛乳を混ぜてホットで飲むレシピもあります。後者の場合、ホット・エッグ・ノッグとほとんど同じ飲み物となります。

ブランデー・フリップやポート・フリップが代表的です。

13ジュレップ

「ジュレップ」はペルシャ語でローズウォーター(バラの花びらを蒸留して得られる芳香の溶け込んだ水で化粧水や飲料などの香り付けに使われます)を指す「Golâb(گلاب)」(グルアーブ)に由来していると考えられています。グルはバラ、アーブは水のことです。これがアラビア語圏に広まって「julab(ジュラブ)」や「julepe(ジュレプ)」と呼ばれ、18世紀頃にアメリカで「julep(ジュレップ)」と呼ばれるようになり、これがミントの葉で芳香を付けたカクテルの名前として使われるようになったと言われています。

カクテルとしては18世紀後半にアメリカ南部で誕生したと言われています。当初は胃薬として医者が処方したものだったそうです。

グラスで砂糖を少量の水で混ぜ溶かしながら一緒にミントの若芽を潰して香りを出し、スピリッツ(蒸留酒)かワインを加えた後に、クラッシュド・アイスを詰めた大きめのグラス(コリンズ・グラス、タンブラー、ゴブレットなど)に注いでしっかりステアするスタイルです。最初から大きめのグラスで作って最後にクラッシュド・アイスを詰めてからステアする場合もあります。また、最後にミントの葉を潰さずに飾るのが一般的です。

ジュレップをよりカジュアルにした「スマッシュ」というスタイルもあります。

バーボン・ウイスキーをベースにしたミント・ジュレップが代表的です。これはアメリカの競馬のケンタッキーダービーの公式飲料として世界的に知られています。

14デイジー(デージー)

「デイジー」とは「ひな菊(キク科の多年草)」を指します。また「素敵なもの」という意味の俗語でもあります。

スピリッツ(蒸留酒)に柑橘系のジュースとシロップかリキュールなどを加えてシェイクしてからクラッシュド・アイスを詰めたゴブレットか大型ワイン・グラスに注ぐスタイルです。最後に果物のスライスを飾るのが一般的です。

フィクスとほぼ同じですが、フィクスがシュガー・シロップを使うレシピが多いのに対して、デイジーはグレナディン・シロップを使うレシピが多いです。

またコブラーとも似ていますが、コブラーは柑橘系のジュースを使わないか、ほとんど使わないのに対して、デイジーは使います。

ジン・デイジーやブランデー・デイジーが代表的です。

15フィックス(フィクス)

「フィックス」とは「直す」という意味です。

スピリッツ(蒸留酒)に柑橘系のジュースと、シロップかリキュールをゴブレットかタンブラーに注いでからステアして、さらにクラッシュド・アイスを詰めるスタイルです。最後に果物のスライスを飾り、ストローを添えるのが一般的です。

デイジーとほぼ同じですが、デイジーがグレナディン・シロップを使うレシピが多いのに対して、フィックスはシュガー・シロップを使うレシピが多いです。

またコブラーとも似ていますが、コブラーは柑橘系のジュースを使わないか、ほとんど使わないのに対して、フィックスは使います。

16コブラー

「コブラー」とはもともと「靴直し職人」を指す言葉で、靴直し屋が暑い夏の木陰で飲んでいた冷たい飲み物が評判になったことに由来して、この飲み物の名前になったと言われています。

スピリッツ(蒸留酒)やワインと、シロップかリキュールをクラッシュド・アイスを詰めた中型のゴブレットやワイン・グラスに注いでステアするスタイルです。最後に果物のスライスやミントの葉を飾るのが一般的です。

フィックスやデイジーとよく似ていますが、それらと異なりコブラーは柑橘系のジュースを全く使わないか、ほとんど使いません。

17フラッペ

「フラッペ」とはフランス語で「氷で冷やされた」という意味の言葉です。また「打ちたたく」という意味の言葉でもあり、元来はフラッペド・アイスといって木槌で小さく砕いた氷を使って作るものであることにも由来しているかもしれません。

フラッペとはカキ氷のようなもので、カクテル・グラスやソーサー型シャンパン・グラスにクラッシュド・アイスを盛って、リキュールを注ぐスタイルです。カットしたストローを添えるのが一般的です。
リキュールをクラッシュド・アイスごとシェークして作る場合もあります。

ミストとほぼ同じですが、ミストがロック・グラスを使うのに対して、フラッペはカクテル・グラスやソーサー型シャンパン・グラスを使います。

ミント・フラッペが代表的です。

18ミスト

「ミスト」とは「霧」のことです。クラッシュド・アイスで冷やされたグラスの表面にミストのように細かい水滴がつくことから、この名前が付けられたそうです。

ロック・グラスにクラッシュド・アイスをいっぱいに詰めて、お酒を注ぐスタイルです。

フラッペとほぼ同じですが、フラッペがカクテル・グラスやソーサー型シャンパン・グラスを使うのに対して、ミストはロック・グラスを使います。

ウイスキー・ミストが代表的です。

19フローズン

「フローズン」は「凍った」という意味です。
クラッシュド・アイスと材料のお酒をブレンダー(ミキサー)にかけて、シャーベット状に仕上げるスタイルです。

ラムやテキーラをベースにしたトロピカル・カクテルにはフローズン・スタイルのカクテルが多くあります。なお、トロピカル・カクテルはスタイルというより、花や果物を飾流など南国色の強いカクテル全般を指すときに使われる呼び名です。

フローズン・ダイキリが代表的です。

20フロート

「フロート」とは「浮かべる」という意味です。
その名の通り、2種類の材料の比重の違いを利用して、一方の飲料の上にもう一方の材料が混ざらないように浮かべるように注ぐスタイルです。
2種類の材料は、お酒とお酒、飲料とクリーム、水やソフト・ドリンクとお酒など様々です。
グラスはタンブラーを使う場合が多いです。

3種類以上の材料を重ねたものはプース・カフェと呼ばれてフロートとは区別されます。

21プース・カフェ

「プース・カフェ」とはフランス語で「コーヒーを押しやる」という意味合いでコーヒーの後やコーヒの代わりに飲む食後酒を指します。

プース・カフェ・スタイルで作られるプース・カフェという名前のカクテルも存在するため、そのカクテル自体を指しているのかスタイルを指しているのか混同されやすいですが、ここではスタイルについて説明しています。

3種類以上の材料の比重の違いを利用して、プース・カフェ・グラスやリキュール・グラスに比重の重い順に静かに注ぎ重ねるスタイルです。美しい色の層を視覚的に楽しむことができます。
なお、混ざってしまわないように注ぐのは非常に難しく、一旦小さなグラスなどに必要な分量の材料を入れておいて、スプーンの背を使うなどして静かに注ぐとよいようです。

飲むときは混ざってしまわないように飲みたい層を狙ってストローで飲みます。

2種類の材料で作る場合はフロートと呼ばれてプース・カフェとは区別されます。

22ハーフ・アンド・ハーフ

ハーフ・アンド・ハーフとはその名の通り2種類の飲料を半分ずつ混ぜて作るスタイルです。

日本ではスタウト(黒ビール)とそれ以外のビールを半分ずつ混ぜたものを指すことが多いですが、本来はカクテルのスタイルの1つです。

23クラスタ

「クラスタ」とは「皮」という意味です。果物の皮を飾ることからこの名前がついたようです。

主にブランデーなどのスピリッツに、マラスキーノ・リキュール、ビターズ、レモン・ジュース、砂糖などを加えてシェークして、砂糖でスノー・スタイル(グラスの縁に雪がついたように付ける)にしたワイングラスに注いで、最後にらせん状にむいた果物の皮を飾るスタイルです。

24ホーセズ・ネック

「ホーセズ・ネック」とは「馬の首」のことです。
らせん状にむいたレモンの皮の端をグラスにひっかけて飾ったものを馬の首に見立てて付けられた名前です。
この装飾をしたタンブラーに氷を入れ、スピリッツ(蒸留酒)を注ぎ、ジンジャーエールで満たし軽くステアするスタイルです。

25パンチ

「パンチ」とはヒンディー語で数字の「5種」を表す「panch」が語源とされており、アラック酒(ヤシの樹液から作られた蒸留酒)、水または紅茶、レモン果汁、砂糖、スパイスの5種類の材料から作られる飲み物でした。これがイギリスの植民地だったインドからイギリスに伝わり、イギリスから各地に広がりました。イギリスの植民地だったカリブ海や北アメリカの地域で現在のスタイルとして確立しました。17世紀には既に飲まれており、カクテルの原形とも考えられています。

 

ワインやスピリッツ(蒸留酒)などをベースに、リキュール、ジュース、小さく切った果物、氷を加えて混ぜるスタイルです。子供向けにアルコール飲料を使わずに作る場合もあります。果物を入れないレシピもあり、果物をいれる場合を特に「フルーツパンチ(フルーツポンチ)」と呼びます。パーティー・ドリンクとしてパンチ・ボールと呼ばれる大型の器で大量につくり、パンチ・カップ(パンチ・グラス)に注ぎ分けて飲むのが基本ですが、1人分を作るレシピもあります。