ジン | しっぽり...

shippori...

ジンを知る

ジンは大麦の麦芽・ライ麦・トウモロコシなどの穀物を糖化・発酵・蒸留して造ったスピリッツにジュニパーベリー(セイヨウネズの球果)などの草根木皮を加えてさらに蒸留することで香味付けしたお酒です。松ヤニのような香りが特徴的です。無色透明で蒸留酒の中では比較的味のクセがないことと、アメリカのカクテルブームと共に広まったためカクテルの材料として多用されています。

  1. ジンの種類
  2. オランダ人が生み、イギリス人が洗練し、アメリカ人が栄光を与えた
  3. ジンを材料に使ったカクテル

ジンの種類

ジンは生産国と製造方法によって「ロンドンタイプ」「オランダタイプ」「ドイツタイプ」の大きく3つに分類できます。

「ロンドンタイプ」のロンドンはもちろんイギリスの首都のロンドンです。ライトでキレのある味が特徴で「ロンドン・ジン」「ドライ・ジン」などとも呼ばれます。「ビーフィーター」や「プリマス」などの銘柄が有名です。

「オランダタイプ」はジン発祥の地であるオランダの伝統的な製法で造られ、濃厚な香りや味が特徴で「ジュネバ・ジン」と呼ばれます。「ボルス」が有名な銘柄です。

「ドイツタイプ」は生のジュニパーベリーそのものを発酵させてお酒にしてから蒸留する製法で「シュタインヘーガー」と呼ばれています。ジュニパーベリーを香味付けの材料として使う他のタイプとは根本的に製法が異なっており、ドイツ独自の蒸留酒ですが、ジンの一種とされています。フレッシュで飲みやすいのが特徴です。

その他の分類として、糖分で甘く味付けしたイギリス発祥の「オールド・トム・ジン」、レモンやオレンジやショウガなどで香り付けした「フレーバード・ジン」があります。


オランダ人が生み、イギリス人が洗練し、アメリカ人が栄光を与えた

ジンの歴史は「オランダ人が生み、イギリス人が洗練し、アメリカ人が栄光を与えた」という言葉で語り継がれています。

ジンは16世紀にはすでにオランダで飲まれていたという説もありますが、17世紀中頃にオランダのライデン大学医学部教授のフランシスクス・シルヴィウスが、利尿・健胃・解熱の効果があるジュニパーベリーをアルコールに浸して蒸留し「ジュニエーブル」という熱病の薬用酒として造ったのが始まりと考えられています。
当時オランダは東南アジアや南米など各地を植民地としてオランダ海上帝国を築いていましたが、環境の異なる土地では熱帯性の病気にかかる者が多く、ジュニエーブルはそういった人達に大人気となりました。さらに独特の風味が人気となって「イエネーヘル( jenever)」(ジュニエーブルのオランダ語)の呼び名でオランダの国民に愛飲されました。
「ジン(gin)」の名称は「ジュニエーブル(genever)」がスイスの都市「ジュネーブ(Geneva)」の綴りと混同され、さらに短縮された結果です。

その後、イギリスで起きた名誉革命によって、1689年にイングランド王室の血筋を引くオランダ総督ウィリアム3世(ウィレム3世)がイングランド王位に就いたですが、彼が国内でのジュニエーブルの生産を奨励する政策を取ったことで、イングランド国内に急速に浸透し、ジン大国と言える状態になりました。

18世紀には、ジンがお茶やミルクより安く手に入るため水の代わりに飲まれるほどで「ロンドン市民の主食はジン」とまで言われる状況となり、泥酔者が溢れて社会問題化したほどです。
また同じ頃、酒屋のブロードシートがオス猫(トムキャット)の口にコインを入れると足のパイプからジンが出てくる自動販売機を考案して、少量の砂糖を加えて飲みやすい甘口にしたジンを売り出したのが評判を呼びました。これがジンに1、2%の砂糖を加えた「オールド・トム・ジン」の由来となりました。

19世紀の産業革命の時代に入ると連続式蒸留器という大量生産に適していてより純度の高いアルコールを蒸留できる装置が開発され、これによって造られたジンは原料由来の風味のクセが少なくすっきりした味で「ロンドン・ジン(ドライ・ジン)」と呼んで、従来の重く複雑な味のする「オランダ・ジン(ジュネバ)」よりも多く飲まれるようになりました。
その後、ロンドン・ジンにビターズ(草根木皮から造った苦味の強いお酒)をたらしたり、ベルモット(白ワインをベースに香草やスパイスを配合して造られたフレーバードワイン)を加えたマティーニ・カクテルなど、ジンを使った様々なカクテルが生み出されました。

20世紀に入って、禁酒法が敷かれたアメリカではジュースのように見えるカクテルが闇酒場で盛んに飲まれるようになり、無色透明のジンがカクテルのベースとなるお酒として好んで使われました。



ジンを材料に使ったカクテル