ブランデーとは
最終更新日:2026年8月17日
ブランデーとは、ブドウなどの果物を発酵させた果実酒を蒸留してつくる酒です。果実由来の豊かな香りが特徴で、ブドウを原料とするものの多くは樽で熟成され、まろやかな味わいや複雑な香りを生み出します。「蒸留酒の女王」と呼ばれることもあり、食後酒としてストレートで味わうほか、カクテルやお菓子の材料にも用いられます。

一般に単に「ブランデー」といった場合は、ブドウを原料とするグレープ・ブランデーを指すことが多くあります。一方、リンゴやチェリー、洋ナシ、プラムなど、ブドウ以外の果実から造られる蒸留酒もあり、これらは「フルーツ・ブランデー」や「アップル・ブランデー」のように原料名を付けて呼ばれます。
また、ワインを造った際に残るブドウの搾りかすを発酵・蒸留して造るものを「かすとりブランデー」と呼びます。
グレープ・ブランデーではフランスの「コニャック」や「アルマニャック」、フルーツ・ブランデーではリンゴを原料とする「カルヴァドス」や、チェリーを原料とする「キルシュワッサー」などが有名です。かすとりブランデーでは、フランスの「マール」やイタリアの「グラッパ」が代表的です。
アルコール度数
40 〜 45%
01ブランデーの原料
ブランデーの原料として最も広く使われているのはブドウです。
ただし、良質なワインを造るためのブドウと、蒸留してブランデーにするのに適したブドウは必ずしも同じではありません。
例えばコニャックでは、糖分が少なく酸味の強い白ブドウが使われ、現在はユニ・ブランが圧倒的な割合を占めています。ほかにもフォル・ブランシュやコロンバールなどが用いられます。
ブドウ以外では、リンゴ、洋ナシ、サクランボ、プラムなど、さまざまな果実からブランデーが造られています。
また、ワインを造ったあとに残るブドウの皮や種などの搾りかすも、かすとりブランデーの原料になります。
02ブランデーの作り方・製造方法
ブランデーは原料や種類によって製法が異なります。ここでは、代表的なグレープ・ブランデーの一般的な製造工程を紹介します。
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- ブドウを搾る
原料となるブドウを収穫し、果汁を搾ります。コニャックなどでは、糖分が比較的少なく酸味の強いブドウから造ったワインが蒸留に適しています。コニャックでは現在、ユニ・ブランが主に使われています。 - 発酵させてワインを造る
搾った果汁を発酵させ、蒸留の原料となるワインを造ります。 - ワインを蒸留する
ワインを蒸留してアルコール度数を高め、ブランデーの原酒を造ります。蒸留方法は種類によって異なり、コニャックでは単式蒸留機による2回蒸留、アルマニャックでは独特の連続式蒸留機による1回蒸留が中心です。アルマニャックについては約95%が専用の連続式蒸留機で造られています。 - 樽で熟成させる
熟成させるタイプのブランデーでは、蒸留した原酒をオーク樽で貯蔵します。時間とともに樽から色や香味成分が加わり、まろやかさや複雑な香りが生まれます。 - 原酒をブレンドする
多くの製品では、熟成年数や性格の異なる原酒を組み合わせて、製品ごとの味や香りを整えます。ただし、単一年の原酒を使うヴィンテージ品など、ブレンドしない製品もあります。 - 度数を整えて瓶詰めする
必要に応じて水を加えてアルコール度数を調整し、濾過などの仕上げを行って瓶詰めします。製品によっては、熟成によって自然に適切な度数まで下がり、加水せず瓶詰めされるものもあります。
03ブランデーの種類
ブランデーは原料や製法によって、大きく「グレープ・ブランデー」「フルーツ・ブランデー」「かすとりブランデー」に分けられます。
グレープ・ブランデー

ブドウから造ったワインを蒸留したブランデーです。
世界各地のワイン産地で造られていますが、特に有名なのがフランスの「コニャック」と「アルマニャック」です。いずれも産地名に由来する名称で、原料となるブドウや製法、生産地域などが厳密に定められています。
コニャック
コニャックは、フランス西部のコニャック地方とその周辺で造られるブランデーです。
主にユニ・ブランという白ブドウから造ったワインを、銅製の単式蒸留機を使って2回蒸留し、オーク樽で最低2年間熟成させます。
熟成年数を示す表示としてV.S.、V.S.O.P.、X.O.などがあります。ブレンドに使われた最も若い原酒を基準として、V.S.は最低2年、V.S.O.P.は最低4年、X.O.は最低10年の熟成が必要です。
アルマニャック
アルマニャックは、フランス南西部のガスコーニュ地方で造られるブランデーです。
コニャックが単式蒸留機で2回蒸留するのに対し、アルマニャックでは独特の連続式蒸留機を使った1回蒸留が中心です。蒸留方法の違いも、それぞれの酒質の個性につながっています。
その他のブドウを原料とする蒸留酒
ブドウを原料とする蒸留酒は、フランスだけでなく世界各地のワイン産地で造られています。
南米のペルーやチリで造られる「ピスコ」も、発酵させたブドウの果汁を蒸留して造る酒です。ブドウの搾りかすを原料とするかすとりブランデーとは異なります。
フルーツ・ブランデー

ブドウ以外の果実を発酵させて蒸留したものを、フルーツ・ブランデーと呼びます。
原料となる果実によってさまざまな種類があり、その土地で豊富に採れる果実を利用した蒸留酒が各地で発展してきました。
グレープ・ブランデーのように樽で熟成させるものだけでなく、果実本来の香りを生かすため、樽熟成を行わず無色透明のまま製品化されるものも多くあります。
カルヴァドス
リンゴを中心に原料として造られるフランス・ノルマンディー地方のブランデーです。
「カルヴァドス」という名称は生産地域や製法などの条件を満たしたものに限って使用できます。
キルシュワッサー
サクランボを発酵させて蒸留するフルーツ・ブランデーです。「キルシュ」と略して呼ばれることもあります。
主にドイツ、フランス、スイスなどで造られ、ストレートで飲まれるほか、カクテルや洋菓子の香り付けにも使われます。
その他のフルーツ・ブランデー
このほかにも、さまざまな果実からブランデーが造られています。
イチゴを原料とする「フレーズ」、木イチゴの「フランボワーズ」、洋ナシの「ポワール」、プラム類から造られる「クエッチュ」や「スリヴォヴィッツ」などがあります。
かすとりブランデー

ワインを造った際に残るブドウの皮や種などの搾りかすを、発酵・蒸留して造るのが「かすとりブランデー」です。
ワイン造りの副産物を利用した蒸留酒ですが、それぞれの産地で独自の酒として発展してきました。
マール
フランスで造られる代表的なかすとりブランデーです。
フランス語でブドウの搾りかすを「マール」といい、ブルゴーニュ、シャンパーニュ、アルザスなど各地のワイン産地で造られています。
グラッパ
イタリアを代表するかすとりブランデーです。
ワイン造りで残ったブドウの搾りかすを蒸留して造ります。樽熟成を行わず無色透明のまま製品化されるものが多い一方、樽で熟成させたグラッパもあります。
オルホ
スペインで造られる、ブドウの搾りかすを原料とした蒸留酒です。
特にスペイン北部のガリシアなどで伝統的に造られてきました。
「ブランデー」の語源
「ブランデー」という名前は、オランダ語の brandewijn(ブランデウェイン)に由来します。
brandewijn は「焼いたワイン」という意味で、ワインを火にかけて蒸留したことから付けられた呼び名です。
この言葉が英語で brandywine(ブランディワイン)となり、やがて後半の wine(ワイン)が省略されて brandy(ブランデー)となりました。
04ブランデーの起源と歴史
ワインを蒸留して造る酒は、中世ヨーロッパで蒸留技術が発達する中から生まれました。13世紀頃にはワインを蒸留した酒についての記録が現れ、14世紀初頭には現在のアルマニャックにつながる南フランスの蒸留酒についても記録が残されています。
当時の蒸留酒には薬効があると考えられ、ラテン語で「生命の水」を意味する「アクア・ヴィテ(aqua vitae)」と呼ばれ、珍重されることもありました。フランス語では「オー・ド・ヴィー(eau-de-vie)」と呼ばれ、この名称は現在でも果実などを原料とする蒸留酒の呼び名として使われています。

フランス南西部のガスコーニュでは、1310年にヴィタル・デュフールが、この地方で造られていた蒸留酒について40もの効能を書き残しています。現在のアルマニャックにつながる蒸留酒について確認できる、非常に古い記録の一つです。
ブランデーの中でも、現在のコニャックにつながるフランス西部のブドウ蒸留酒が大きく発展するきっかけとなったのが、16〜17世紀のオランダ商人によるワイン貿易でした。
当時、オランダの商人たちはフランス西部から北ヨーロッパへ大量のワインを運んでいました。しかし、アルコール度数の低いワインは長期間の輸送で品質が変わりやすく、容積も大きいため、輸送には不便でした。
そこで、ワインを蒸留して保存性を高め、容積を小さくして運ぶ方法が利用されるようになります。オランダ人はこの蒸留したワインを「brandewijn」と呼びました。現在の「ブランデー」という名前のもとになった言葉です。
フランスのコニャック地方でも、当初はワインを輸送しやすくするために蒸留が行われました。17世紀になると2回蒸留する方法が広まり、さらに蒸留酒をオーク樽で保存しておくと、時間とともに色や香り、味わいが変化し、酒質が向上することも知られるようになります。
こうして、ワインを濃縮して運ぶために造られていた蒸留酒は、樽で熟成させ、そのまま香りや味わいを楽しむ酒へと発展していきました。
18世紀にはマーテル、レミー・マルタン、ヘネシーなど、現在まで続くコニャック・ハウスが相次いで設立され、コニャックをはじめとするフランスのブランデーは北ヨーロッパを中心に世界各地へ輸出されるようになります。
19世紀後半には、フィロキセラという害虫によってフランスのブドウ畑が壊滅的な被害を受け、ブランデーの生産も大きな打撃を受けました。その後、フィロキセラに抵抗力を持つアメリカ系ブドウの台木にヨーロッパ系のブドウを接ぎ木することでブドウ畑は再建され、現在のコニャックやアルマニャックの生産へとつながっています。
ブランデー全般
チェリー・ブランデー
アプリコット・ブランデー
コニャック