アルコール度数
11°
- 中口
ブラッディー・シーザーはウォッカ・ベースのロング・カクテルです。単にシーザーとも呼ばれます。
ブラッディー・メアリーの兄妹版といえるカクテルで、ブラッディー・メアリーの材料のトマト・ジュースをクラマト・ジュースに変えたものです。クラマト・ジュースとはクラム(=ハマグリ)のエキスが入ったトマト・ジュースです。ハマグリには飲酒した際の肝臓のアルコール分解を手助けするアラニンという成分が含まれており、ブラッディー・メアリー以上に二日酔いに効くことが期待できそうです。
ブラッディー・メアリーと同様に塩、コショウ、ウスターソース、タバスコなどを1〜2ダッシュ程度ずつ振りかけてもよいです。
なお、名前のシーザーとは古代ローマを治めたジュリアス・シーザー(ユリウス・カエサル)から取ったものです。シーザーは側近達に全身を刺されて暗殺されたことで知られており、その血まみれのイメージとこのカクテルの色味から着想したものと思われます。
ブラッディ・シーザーの材料
#ウォッカ- ウォッカ 45ml
- クラマト・ジュース 適量
- カット・レモン お好みで飾る
- セロリ 1本をお好みで飾る
- 氷
ブラッディ・シーザーの作り方
- 氷を入れたグラスにウォッカを注ぐ。
- 冷えたクラマト・ジュースで満たして軽くステアする。
- お好みでレモン・スライス(またはカット・レモン)を飾る。またお好みでマドラーを添えるか、マドラーの代わりにセロリ・スティックを飾る。
ブラッディ・シーザーのエピソード
ウォッカにトマトとクラムのエキスを混ぜた飲み物は、それが「ブラッディー・シーザー」として世の中に広まるより前から存在していたとされています。
まずは1953年、アメリカのマンハッタンのポロネーズ(Polonaise)というナイトクラブで提供されていた「スミノフ・スマイラー(Smirnoff Smiler)」という飲み物が記録に残っています。ウォッカにトマトとクラムのジュースを加え、数ダッシュのウースターソースで調味されたものでした。
そして1962年、アメリカのダラスのベイカー・ホテル(Baker Hodel)のバー・マネージャーのカール・ラ・マルカ氏(Carl La Marca)が「スミノフ・スマイラー」にバジルとライムを数ダッシュ加えて「インペリアル・クラム・ディガー(Imperial Clam Digger)」と名付けました。
さらに1968年から1969年にかけて、カナダの酒造メーカーのシーグラム社とクラマト・ジュースを製造しているモッツ社とがタッグを組んで、ウォッカとクラマト・ジュースを使ったカクテルを「クラムディガー(Clamdigger)」と名付けてこの宣伝に力を入れていました。
「ブラッディー・シーザー」が誕生したのは1969年で、カナダのカルガリーにあるカルガリー・イン「Calgary Inn」のレストラン・マネージャーのウォルター・チェル氏(Walter Chell)によって考案、命名されました。チェル氏はイタリアのベニスでトマトソースとクラムの入ったヴォンゴレ・スパゲッティ出されていたことに着想を得て、クラムをすり潰して作ったネクターを使って3ヶ月かけてこのドリンクを完成させました。ブラッディー・メアリーと似ているものの、それと区別するためにインスピレーションを得たイタリアにちなんでブラッディー・シーザーと名付けたようです。
前述のとおり類似のカクテルは既に存在していましたが、ブラッディー・シーザーが大変な人気を集めてカルガリーから広まってゆきました。ちょうどこの頃モッツ社が売り出したクラマト・ジュースは当初は売り上げ低迷しましたが、ブラッディー・シーザーの人気によってのクラマトの売り上げが伸びる結果となりました。カナダではブラッディー・シーザーが最も人気のあるカクテルだとも言われています。